マイクロ法人設立 妻の説得
マイクロ法人を設立するといっても、これまで通り本業の会社に勤めつづけるわけで、家族を路頭に迷わせるような大きなリスクを伴いません。また、表向き妻が代表者となるものの、それは形式的な話であり、これまでと何ら変わらぬ生活が続くはずです。妻に切り出す前にそのようなことを考えていたこともあって、妻が簡単に提案を受け入れてくれると勝手に思い込んでいました。
ところが、いかにリスクが小さいとか理屈を説いても、妻は首を縦に振りません。困りました。勤務先の就業規則を順守するため、こじかはマイクロ法人の代表者にはなれません。妻の代表就任がマイクロ法人設立の前提条件なのです。
いろいろと話し合っていくうちに、妻が躊躇する理由がぼんやりとわかってきました。彼女が躊躇する理由はこじかの過去にあるようなのです。マイクロ法人設立 目的①で記事に書いた通り、こじかは20代30代と何度か本気で起業を計画してきました。そしてすべての計画は頓挫したことを妻は憶えていたのです。簡単に言えば、「この人また言ってる」という感じだったのでしょう。
理屈では落とせないと感じたので、情緒に訴える作戦に切り替えました。「今回は本気なんだ!」とかいろいろ力説しましたが、「過去のは本気じゃなかったの?」と切り返されて撃沈。焦ってはいけないと、何日にもわたって説得を試みるも突破ならず。
そんなある日、「定年後、俺が家の中でブラブラしていたらストレス溜まるよ!」と切り出したこの一言が妻を説得する呼び水となりました。四六時中亭主が家にいるのは相当に嫌なのでしょうね。こじかも同じくらい嫌です。利害が一致し、共感を得た瞬間でした。
定年後、体と頭がまだまだ動くのに、やることが無い、行くところが無い、年金以外の収入が無い。死に向かって何もせずに一日一日をだた生きてゆくというのはある意味地獄です。
宅建の勉強で図書館に通い詰めて分かったのですが、明らかに暇つぶしのために図書館を利用している高齢者が非常に多いのです。ほとんど居眠りしかしていないのですぐにわかります。家にいれば奥さんのストレスを増加させる原因になりますから、行き場を求めて図書館にたどり着いたのでしょう。
ともあれ、こじかと妻は定年後の人生設計について意気投合し十分に話し合いました。これで妻もOKか!と思いきや、そうは問屋が卸しません。条件を付けて来たのです。その条件こそが「宅地建物取引士」になることでした。
将来的に駐車場経営や大家業などを想定はしていましたが、宅建業をやるつもりはありません。なぜ使いもしない宅建士免許なのか妻に聞いたところ、「不動産やるなら宅建ぐらい持ってなきゃダメでしょう」と、さも常識と言いたげな返答。つい話の流れから、マイクロ法人を設立したい一心から「だよね、宅建ぐらい持ってなくちゃダメだよね」と答えました。これにより、条件付きではありますが、妻の代表就任を取り付けた次第です。
妻の出した宅地建物取引士という条件、これは絶妙という他ありません。他の難関資格に比べればそれほど難しわけではないけれど、本気で勉強しないとまず受かりません。そして資格を得れば不動産関連の副業の守備範囲が大きく広がり、本業の勤務先の評価も手当もアップ。妻がどこまで深く考えての提案か謎ですが、とにかく女の勘は侮れないことだけはよくわかりました。
もとはといえばこじかの「本気」に疑いがあったのでしょう。過去何度となく起業すると言っては頓挫しましたから、妻が疑うのも当然です。信用を取戻し、マイクロ法人設立の条件をクリアするため、教材を購入して一年間勉強してきました。試験直前の数か月は小六の娘を放置しいて一心不乱に取り組みました。そんな姿を見続けたためでしょうか、いつからかこじかの「本気」を信じてくれたようで、生活面や精神面、さまざまな場面で受験勉強を応援してくれるに至りました。合格がわかった時にはハイタッチで喜びを分かち合ったほどです。
妻であっても他人から信用を得るには言葉ではなく実績や行動が大事です。そんな当たり前のことを今回の件で身につまされました。リスクは小さいと言えども、こじかの家族の未来に大きな影響を及ぼしかねないマイクロ法人設立です。妻は慎重に判断したのだと思います。
これまで述べてきたように、妻の説得工作に一年以上の時間と教材費、多大な労力を費やしました。それは決して無駄な努力ではなく、宅地建物取引士という目に見える形でのリターンがあり、結果としてとてもよかったと思っています。
いずれにせよ、妻の説得がマイクロ法人設立における最初にして最大の難関なのかもしれません。
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