マイクロ法人の年末調整と支払調書の提出
こじかのマイクロ法人について
こじかのマイクロ法人は2017年1月に資本金200万円で設立し、2017年12月に第一期の決算を向かえました。マイクロ法人の実態は、ソーシャルレンディングやFX、不動産業などの副業の隠れ蓑です。取締役は妻一人、いわゆる妻社長の会社です。2017年に役員報酬や給与の支払い実績はなく、源泉徴収の事実はありません。
そのような状況から、昨年11月に届いた年末調整の案内も、ざっと目を通しただけで無視していました。ところが、ひょんなことから同じ状況のマイクロ法人でも「法定調書合計表」は1月31日までに提出しなければならないことを知り、急遽対応した次第です。
税務署からのお知らせ(年末調整)
昨年11月にマイクロ法人に届いた封書、その中身の量と種類は尋常ならざるものでした。厚みは13mm、17種類の書類が複数部同封されていました。 案内や手引の量はトータルで200ページにも及びます。提出系の資料も9種類同封されており、内容を理解して正しく年末調整するのは極めて困難であることが直感的にも分かります。
もし、まともに年末調整をすることを考えると、決算や法人税の申告と同程度の負担になると想像します。一人社長の妻に役員報酬を支払わず、源泉徴収していないことを改めて良かったと実感しました。
(1)案内・手引系資料(全200ページ)
- 平成29年分 年末調整のしかた(A4縦冊子112ページ)
- 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引(A4縦冊子35ページ)
- 平成30年分 源泉徴収税額表(A4縦冊子30ページ)
- ダイレクト納付の案内(A4縦冊子4ページ)
- 平成30年度 住民税特別徴収 給与支払報告書の提出について(A4縦両面1枚)
- 市区町村役所(場)所在地便覧(A4縦冊子全12ページ)
- 平成29年分 年末調整説明会のお知らせ(A4縦両面1枚)
- 税務署からのお知らせ(面接予約)(A4縦両面1枚)
(2)提出書類系資料
- 納付書(横型カーボン紙3枚綴り、全15部)
- 平成30年分 退職所得 給与所得に対する源泉徴収簿(A4横両面、10部)
- 平成30年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(A4横両面、10部)
- 平成29年分 給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書 (A4横両面、10部)
- 平成30年度(29年分)給与支払報告書(総括表)(茶色カーボン紙2枚綴り、全1部)
- 給与支払報告書(個人別明細書)(オレンジ色カーボン紙4枚綴り、全1部)
- 給与支払報告書(個人別明細書)(緑色カーボン紙3枚綴り、全1部)
- 平成29年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(A4縦カーボン紙2枚綴、全1部)
- 支払調書(4種類)(A4横両面、全1部)
マイクロ法人が提出した書類
源泉徴収の事実がないとはいえ、いくつかの書類は提出義務がありました。こじかのマイクロ法人では次の書類が該当します。- 法定調書合計表 ・・・前述(2)8
- 不動産の使用料等の支払調書 ・・・前述(2)9
● 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
法定調書合計表は所轄の税務署から郵送されてきた紙の書類に手書きで作成しました。ちなみに、法定調書合計表は国税庁のWebサイトにも掲示されています。
法定調書合計表は次のようにヘッダー部分と6つのブロックから構成されています。こじかのマイクロ法人では、「ヘッダー部分」と「4.不動産の使用料等の支払調書合計表(313)」に必要事項を記載しました。それ以外は、各ブロックの摘要欄に「該当なし」と記載しました。 記載方法については、前述の「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」の27~28ページに図解で詳しく例示されており、迷うことがありませんでした。
<法定調書合計表の構成>
ヘッダー部分
- 給与所得の源泉徴収票合計表(375)
- 退職所得の源泉徴収票合計表(316)
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書合計表(309)
- 不動産の使用料等の支払調書合計表(313)
- 不動産等の譲受の対価の支払調書合計表(376)
- 不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書合計表(314)
● 不動産の使用料等の支払調書
不動産の使用料等の支払調書は所轄の税務署から郵送されてきた紙の書類は使わずに、国税庁のWebサイトにも掲示されている以下の入力用PDFを利用しました。
平成28年分以後の支払調書【入力用】
記載方法については、前述の「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」の21~22ページに図解で詳しく例示されており、迷うことがありませんでした。
不動産の使用料等の支払調書を提出した理由
こじかのマイクロ法人は本店をこじかの自宅の一室においています。この本店として利用している一室は、こじか個人とマイクロ法人間で正式に賃室賃貸借契約書を締結し、毎月マイクロ法人からこじか個人あてに賃料が支払われています。
前述の「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」21ページによると、一年間の支払額が15万円を超える家賃の支払いに関しては、支払調書を提出する義務があるそうです。
こじかのマイクロ法人がこじか個人に支払った家賃は一年間で15万円を超えていましたので、支払調書を作成し、その内容を法定調書合計表にも記載して両書類を提出した次第です。
ちなみに、提出した支払調書にはこじか個人のマイナンバー(12桁)が記載されています。税務署はマイクロ法人の支払調書の内容から、こじか個人が15万円以上の金銭を不動産使用の対価として受領している事実を把握することが出来るわけです。
一方で、こじか個人は不動産所得の確定申告を行う予定はありません。マイクロ法人から受け取っている家賃は、原価を下回るように設定しており(つまり赤字)、不動産所得が発生していないからです。
杓子定規に不動産所得の赤字を申告すれば、微々たるものかもしれませんが所得税が還付されることになるでしょう。少額の還付にしかならない確定申告は面倒なだけなのでやりません。マイクロ法人では支払調書を提出しながらも、支払を受ける側のこじか個人が不動産所得を申告しないのはそのような理由からです。
マイクロ法人とこじか個人の賃室賃貸借契約書と、原価割れしている賃料の設定については、いずれ記事にしたいと思います。
コメント
コメントを投稿