マイクロ法人設立 地域との関わり

  こじかは埼玉県のとあるベットタウンで暮らしています。住所は駅から徒歩3分のマンションの十数階です。このマンションは約15年前に頭金を3割用意し残りは住宅ローンを組んで購入しました。ずいぶん少なくなったとはいえ、住宅ローンの残債を1千万円以上抱えています。ありふれた話です。


 もともとこのベットタウンで生まれ育ったわけではなく、勤務先への通勤に便利という理由でこの地の居住を選択しました。駅近マンションを選択したのは流動性が高いから。こじかは転勤を前提とするサラリーマンですから、売りたいときに売れる、貸したいときに貸せる、流動性の高い物件しか購入対象にできないのです。

 この駅近マンションに15年住んで気付いたことがあります。こじか一家を含め、マンション住民の多くは、マンションが立地する地域と無関係に暮らしています。地域と関わることなく、文字通り宙に浮いた生活をしています。後述の通り、地域との断絶度合いでいえば、こじか夫婦は典型的な事例でしょう。

 夫こじかは朝早く電車にゆられ東京の勤務先へ行き、夜遅く帰宅し就寝。平日に地域と接触するのはマンションと駅との間の徒歩3分間だけ。コンビニに立ち寄る程度です。休日は休日で近郊の大型ショッピングモールへ車で出かけたり、観光地へ出かけたりで、居住する地域との交わりが全くありません。



 専業主婦であるにも関わらず、妻はある意味こじか以上に地域と断絶しています。平日の買い物は楽天と生協の宅配がほとんど。徒歩1分のスーパーマーケットには行かず、その店舗が運営するネットスーパーを利用する徹底ぶり。お店が近すぎるため、注文した商品は店員さんがお店から徒歩で台車を押して納品しに来ます。妻は1週間に数回コンビニへ行くために地上に降りるらしいのですが、基本一日中マンションの中、つまり空中で生活しています。運動不足解消のためマンションの同じフロアーの廊下を散歩するなど、その徹底ぶりは変人の領域に達しています。

 こじか夫婦は多少極端な例かもしれませんが、これが首都圏ベットタウン駅近マンション住民の典型的な生活スタイルかと思います。こんな夫婦でも娘が生まれ小学生まで成長すると地域との関わりを持たざるをえません。少なくともPTAや学校行事は事実上拒否不可能です。そして当の娘にしてみれば、この地で生まれこの地で育ちましたから、このベットタウンこそが彼女の地元になります。こじか自身も人生の中で最も長く住んでいる場所になりつつあり、少なからず地元意識のようなものが芽生えてきたのを自覚する昨今です。

 47歳のこじかがこのまま年を取ってサラリーマン稼業を定年退職したとき、その後この地でどのように暮らしていくのでしょうか。相変わらず地域と断絶したまま、宙に浮いた生活を続けるのでしょうか。正直そんな生活は気持ちが悪いです。現在の生活スタイルはサラリーマン業に特化したものであって、サラリーマンを引退した後も続ける意味はありません。とはいえ、定年退職した翌日から地域社会と上手に関わりあって生きてゆくことなど出来るのでしょうか。


 そのような思いもあり、マイクロ法人の設立を計画してからというもの、地域のイベントに積極的に参加するようにしました。イベントといってもお祭りや催しではありません。地域行政が主催する「まちづくり」への参加です。公務員、学者、学生、コンサルタント、不動産オーナー、不動産業者、商店主、農家、会社経営者、地元内外のさまざまな職業の人たちか集い、熱心な議論をしていることに驚かされました。一方で、こじかのような東京勤めのサラリーマンの参加は皆無で、それだけに珍しがられ、たくさんの方々と交流を持つことができました。

 こじかはこの地で暮らし始めて約15年になりますが、過去一度も地元の人とお酒を飲んだことが無かったし、地元のお店を利用したこともありませんでした。飲むのは専ら東京で、同じ会社の同僚や取引先、大学の同級生などです。それが「まちづくり」に参加してからというもの、毎週のように地元の人たちと地元の店でお酒を酌み交わすようになりました。本当に楽しいお酒です。

 設立予定のマイクロ法人は金融商品取引の他、不動産を事業の柱にしたいと考えています。対象は地元の不動産。地域の不動産を生業にするということは、地域に根ざして生きてゆくということでもあります。こじかは当面の間サラリーマン業を続けていきます。一方でマイクロ法人を通じて地域社会とビジネスベースの深い交流を行っていくつもりです。通常であれば両方に手を出すことは叶いませんが、マイクロ法人が様々な矛盾を吸収してくれるでしょう。

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